家族の将来を踏まえた間取りを
築20年程度の戸建て住宅で現在、夫婦2人暮らしなのに部屋がたくさん余っていたり、2階は物置がわりでほとんど足を踏み入れることもない、という実態がたくさんあります。
子育てのために建てた家は、子が育てば部屋は余ってしまう。ところが夫婦の寝室は狭く、収納スペースが少ないというケースも少なくありません。
(財)北海道建築指導センターの住宅相談員、そして「さっぽろ住まいのプラットフォーム」という札幌市民の住まい相談を建築や福祉など様々な分野の専門家が協働で対応するNPO法人の理事長も務める、札幌市の恵和建築設計事務所、一級建築士の山本明惠さんに話を伺いました。

(山本 明恵さん)
間取りを考える人は10人に1人!
まず第1に間取りの標準的なパターンそのものは昔からほとんど変わっていません。変わっているように見えるのは既成品の建具で収納を作ったり、さらしの階段などを設置できるようになったので、見た目が変わってきたという程度です。
住宅購入希望者のうち、自分で間取りを勉強して、いろいろ考える人は10人に一人程度しかいません。私たちに「4人家族ですが何坪の家を建てたら良いですか」と聞いてこられる方もいます。たいていの人はモデルハウスを見たり、住宅会社が見せるプラン集の中からよさそうなものを選ぶ程度です。最終的には生活に合わせた間取りを決めるのではなく、間取りに合わせた生活をする人が大多数です。そういう意味では建売住宅で良いわけですが、なぜか「建売住宅」は安っぽい、手抜きがあるというような先入観がある人が多く、それで注文住宅を望み、一応間取りも選ぶというのが最近の傾向です。
子供のプライバシーは少なめに
北海道の人は壁で部屋を仕切るのを好む傾向があります。個室がたくさんできるわけですが、逆に建具で区切ると視線は遮るが家族の気配を感じる空間ができます。
子供にとって理想の家は、家族の気配を感じるプライバシーの少なめの狭い家ではないでしょうか?
子供にプライバシーはいらないと決めた建築家が、床面積5坪、5層の狭小住宅を建てた結果、子供は片付け上手になりアイデア豊富な子供になり、家に愛着を感じ、結局建築家になったという事例もあります。
子供は出ていく可能性が高いのですから、新築時には、子供たちに一時的に預ける部屋、と考えて、将来的には自分たちが使いやすいように考えておくとよいでしょう。例えば子育てが終わったら子供部屋はリビングと一体化できるようにしておくとか、小さくても広く使える家にするなど、将来のこと、予算のことも踏まえて上手な間取りをプロに相談すると良いでしょう。
大きな部屋に家具や荷物、思い出の品々などいろんなものを詰め込んで狭く使っていたのが従来の日本人の暮らしです。子育てが終了したら2階は誰も使わなくなる、という実態は多くの住宅で発生しています。
できるだけ荷物は少なく、家はやや小さめに、間取りは変更しやすいように、プライバシーは重視しすぎない、といった要素を皆さんも検討してみるとよいでしょう。
(※本記事は(株)北海道住宅新聞社との委託契約に基づき同社が作成しました。)