サスティナブル住宅雑感
北海学園大学工学部建築学科教授 佐々木博明氏
北海学園大学で、学生に建築の環境工学(断熱・設備・換気)を教えている佐々木博明教授。道内の住宅会社と連携し、住宅分野についても様々な検証・提言を行っています。今回は、同氏が08年8月に視察に訪れた、ロンドンにある建築家ビル・ダンスター氏の設計するサスティナブル住宅、そして北海道の住宅についてのレポートをご紹介します。

(佐々木博明教授)
ロンドンも寒い。大雪で市内が真っ白になり、雪遊びをする子供のTVニュースが報道されていました。ロンドンも寒冷地。その郊外にサスティナブルな低層集合住宅があります。
高断熱と自然エネルギー使用の住宅設備、パッシブ的な太陽熱利用、身近な自然の建材を使用して、サスティナブル建築を目指している住宅です。日本のCASBEEで計算してもきっと高い評価となりそう。それが、ビル・ダンスター設計によるハックブリッジにあるBedZED計画です。
ご覧の様に、熱交換用の自然給排気塔が特徴的です。ちょっとドキッとするような外観をしていますが、側で見ていると慣れて、愛嬌があると言うか親しみが持てる低層集合住宅です。ロンドンの中心から僅か列車で30分程の所に2004年に建設されました。
ロンドン郊外はレンガの古い伝統的様式の建築がたくさんあります。一方市内は、ロンドン市庁舎を始めシティーにある高層のガーギンやノースグリニッジのミレニアムドームと言った現代的な建築も林立し建築的に飽きません。それらの建築コンセプトにも必ず周囲環境への配慮や温暖化防止、サスティナブルなどの言葉が入っています。これら無しで、現代建築はあり得ません。そして、その考えが住宅づくりにも大きく反映しているのがこの住宅群です。
北海道の住宅に関しても最近、一層の高断熱化を進化させた「無暖房住宅」を目にします。
本当の暖房費ゼロとはなりませんが、従来の1/5位までエネルギー使用量を低減する事は可能になっています。これにはヒートポンプ式の暖房設備が強力なサポートとなっています。さらに一歩進んで、太陽光発電(PV)を取り付けて、年間で電力使用量と発電量の収支をバランスさせて、ゼロエネルギー住宅の達成を考える住宅研究も始まっています。
石油の高騰や温暖化防止の背景もあり、超高断熱化とヒートポンプを始めとする設備機器の進化により、寒冷地において多大なエネルギーを消費する冬期の暖房と給湯の束縛から開放され住宅建築が可能になりつつあります。石油の高騰の次に来た、世界不況もサスティナブル住宅で追い風と捕らえ、寒地の住宅の環境とエネルギーを考えて行きたいものです。



(ロンドンのサスティナブル住宅)
(※本記事は(株)北海道住宅新聞社との委託契約に基づき同社が作成しました。)