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2009年02月03日

今春から道産エコ断熱材を製造開始

 
 (株)木の繊維は、道内で住宅用の木質繊維断熱材を作ろうと2007年7月に設立されたばかりのベンチャー企業です。木質繊維断熱材には、大きな熱容量、難燃性、防音性能、LCCO2(製造時から廃棄時までに排出されるCO2の総量)の小ささなど優れた特徴を持っており、今年4月からは苫小牧市の工場で試験操業を開始する予定です。

 今回は、同社社長の大友詔雄(のりお)さんに断熱材製造に取り組んだ経緯や今後の抱負などをお話しいただきました。

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(木質繊維断熱材を手にした大友詔雄社長)


ドイツでの出会いから道内事業化へ

 木質繊維断熱材との出会いは今から5年ほど前のドイツです。ドイツは1994年、日本の憲法に相当する基本法に「次世代の為に自然を守る責任がある」ことを盛り込むなど環境先進国として知られています。

 製造時のエネルギー消費が少なく、廃棄後に土に還るなど環境負荷が小さい特徴があり、材料も針葉樹が最適だと知って北海道での「地産地消」事業にうってつけだと感じました。さっそくドイツ企業とライセンス取得交渉を始めました。

 木質繊維断熱材を輸入して実際にユーザーに使って「いいものだ」と感じていただき、ドイツ側にも「日本には受け入れる素地ができている」と理解してもらうなど地道な努力を重ねライセンスを取得できました。

 ただ、事業化には多大な資金が必要で単独では取り組めません。地元の大手建設会社や工場建設予定地に隣接した地主さんなど多くの方に出資していただいて㈱木の繊維を設立し、事業化がスタートしました。

 工場は今年4月から試験操業に入り、主に壁内充てん断熱用のマットタイプを生産します。原料は道産トドマツ、カラマツの間伐材などが中心。このほか、「UDボード」の生産も計画しています。床用防音材や多目的の硬質付加断熱材兼外壁下地として使えます。

 生産過程で工場で使う熱エネルギーには、バーク(樹皮)ボイラーを採用しています。燃料となる樹皮はいろんな含水率の物が運ばれてきますので、流動床ボイラーや、ボイラーの排熱利用で乾燥させる仕組みにしました。


断熱性能以外に様々な魅力

 木質繊維断熱材の魅力は、まず熱容量の大きさです。箱の中に断熱材を敷き、電球を点けて断熱材下の温度を測定しました。開始後10分で鉱物繊維系の断熱材は温度が7℃上昇、一方木質繊維断熱材は断熱性能を表す熱伝導率は同じでも、わずか0・3℃の上昇。電球を消すと、鉱物繊維断熱材は急速に温度が下がるのに対し、木質繊維断熱材はほとんど変化しません。木質繊維断熱材は5倍以上熱容量があり、熱を断熱材に貯め込むからです。このため室内の温度変動が抑えられます。

 ニセコに建てた住宅で、厳冬期に暖房で20℃超まで温度を上げてから完全に暖房を切り、その後の温度変化を調べたところ、2週間後も室温は7~10℃に保たれました。暖房費の大幅削減が期待できます。このデータが出たことでみなさんの反応も変わりました。

 2つめは、製造から廃棄に至るまでのCO2排出量を表す「ライフサイクルCO2(LCCO2)」の小ささです。当社で詳しく調べたところ、木質繊維断熱材は木が原料のためCO2を固定する効果がLCCO2の3倍以上あり、実質的にCO2を出さないと言えます。

 3つめはきわめて付加価値が高いことです。これは地産地消実現の大事なポイントです。原料1tあたりの製品価格で比べると、木質繊維断熱材は少なくともチップの10倍、木質ペレット燃料の3倍以上もあります。
 従来の断熱材より割高になりますが、ランニングコスト低減が期待できます。

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(道内住宅の実例が出たことで反応が変わった)

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(付加価値が極めて高いのも地材地消に重要な要素)


2年後に住宅1万戸分生産

 事業計画では、初年度5万m3でスタートし、3年目に30万m3(おおよそ住宅1万戸分)のフル生産に移行する予定です。販売拠点は、道内を含め東京など全国4ヵ所に設けます。

 営業面では、建材ルートの開拓のほか、大手ハウスメーカーにも採用を前向きに検討していただいてます。まずはお客さまに使っていただいてご意見や評価をいただくことが基本だと思います。現在は、既に使っていただいたお客さまのご意見をもとに、専用裁断具を開発中です。100V対応の電動丸鋸でスパッと切れ、ほとんどくずが出ないのが特徴です。

 今後は防耐火認定をなるべく早く取りたいですね。素材単体と構造体としての認定両方です。4月の試験操業開始時点で道立北方建築総合研究所(北総研)や道立林産試験場(林産試)の協力も仰ぎながら進めていきたいと思っています。


木質繊維断熱材
 間伐材や林地残材の樹皮を取り除き、細かく破砕して作ったチップを繊維状にし、バインダーを数%混ぜて成形する。断熱性能は道内でよく使われる鉱物繊維断熱材並みの0・038W/K。製造過程で水を加える必要がない乾式製法。

大友詔雄氏プロフィール
北海道大学工学部卒業。工学博士。同大学で教鞭を執りながら1999年に北大発ベンチャー企業として㈱NERC(自然エネルギー研究センター)を設立、センター長として自然エネルギー利用などのコンサルティングを行う。2007年に同大学を退官し㈱木の繊維の代表取締役社長に就任。

会社プロフィール
株式会社 木の繊維
本社 札幌市中央区北1条西4丁目札幌ノースプラザ8階
http://www.kinoseni.com/

(※本記事は(株)北海道住宅新聞社との委託契約に基づき同社が作成しました。)