北海道建築士事務所協会小樽支部40周年記念講演
持続可能な家と街~フィンランドに学ぶ~
今年で創立40周年を迎えた(社)北海道建築士事務所協会小樽支部では、小樽市内で北欧・フィンランドのヘルシンキ市で都市計画を担当している吉崎恵子さんを講師に迎え、「北方圏諸国の一員としての街づくり、家づくりの手法」をテーマに記念講演を開催しました。ヘルシンキ市で行われている持続可能な住宅づくりと都市計画などの話に大勢の参加者が熱心に耳を傾けました。

(会場の様子)
吉崎さんは最初に「ヘルシンキ市で一度建てた住宅・建築物は基本的に建て替えることはなく、メンテナンスを継続して行うことで、持続可能な住宅・社会の形成につなげています。持続可能な住宅は、単に物質的な耐久性・省エネ性だけではなく、優れたデザインや機能を兼ね備え、将来の増改築に対応できる構造・設備などを有しているという条件も満たしていることに加え、住まい手も積極的にメンテナンスや内外装・設備等の更新を行うという意識が必要」と、ヘルシンキ市における持続可能な住宅の条件などを説明しました。
続いて「最近の多くの新築住宅は現在の建築基準を上回る省エネ性能を持つ住宅を建てていますが、これは建てるならより良いものを造ろうとしているから。フィンランドには“私は安物を買うほどお金持ちではない”という言葉があり、建てる時にお金をかけないと、光熱費や維持管理費が高くつくということを知っているわけです。」と、建てる時だけでなく、建てた後のことも考えて家づくりを行っていることを紹介しました。
やさしい社会を考えた街づくり

(講演する吉崎さん)
街づくりに関しては、「ヘルシンキ市では、建物の建築範囲や高さなどを規制するだけではなく、使用材料や色、窓の大きさなども考えられています。集合住宅では単身者向けの1LDKやファミリー向けの3LDKなどいろんなタイプの住戸を入れることで、様々な世帯が触れ合えるようにしていますが、これは住民相互が社会的に理解し合える環境の形成に役立っています。建物の一部を幼稚園、共用スペース、高齢者用スペースと、入居者のライフサイクルに合わせて変更できるようにしている点も特徴です。」と、地域の活性化とコミュニケーションを重視している点をポイントとして挙げました。
また、「ヴォーサリ地区という街では住民混合という考え方で、ブロックごとに民間賃貸住宅、民間分譲住宅、公営賃貸住宅、公営分譲住宅をそれぞれ4分の1ずつ配置し、地域格差・住民格差が生まれないようにしています。フィンランドではこうすることによって、人が人にやさしくできる社会ができると考えているのです。」と、街づくりを通して、誰もが平等でお互い支え合うことができる社会づくりを進めていることも強調しました。
(※本記事は(株)北海道住宅新聞社との委託契約に基づき同社が作成しました。)