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2007年12月13日

平成19年度の受賞作品が決定しました!

 皆さま、大変お待たせいたしました。ついに本年度の赤レンガ建築賞と奨励賞の受賞作品が決定しました!!
 【赤レンガ建築賞】
  黒松内町立黒松内中学校エコ改修(校舎棟)
      建築主:黒松内町
      設計者:㈱アトリエブンク
      施工者:田中組・伊藤組土建・スガワラ特定建設工事JV
      (電気設備) 末廣屋電機・黒松内電工社特定JV
      (機械設備) 藤井設備・佐々木配管特定JV
【赤レンガ建築奨励賞】
   大成札幌ビル
      建築主 大成建設㈱
      設計者 大成建設㈱一級建築士事務所
      施工者 大成建設㈱札幌支店

 2作品は11月8日開催の審査委員会において選考され、その後、実行委員会の了承などを経て、今日、正式発表ということになりました。
 審査委員会では、現地審査を行った5作品すべてが秀逸だったことから、各委員による熱のこもった議論が行われました。下の「続きを読む」に大矢審査委員長による「講評」を掲載いたしますので、どうぞこちららもご覧下さい。

H19-4-shinsakai.jpg【最終審査の様子】
 
 表彰式は1月下旬くらいに行うことを予定しています。式では銘板(赤レンガ建築賞のみ)と賞状が贈呈されることとなっております。開催の様子はこのブログでも紹介しますので、どうぞお楽しみに。

【平成19年度 北海道赤レンガ建築賞 講評】

○北海道赤レンガ建築賞
 「黒松内町立黒松内中学校エコ改修(校舎棟)」

 地球温暖化が深刻化する中、我が国のCO2排出量の3分の1を建築関連部門が占めるというデータがある。今や、建築に関わる生産活動や日常のライフスタイルのあらゆる場面で「環境」を意識しなければならない時代になった。本年度の応募作品の多くが環境やサステナビリティ(持続可能性)をテーマに掲げていたこともそのような状況を反映している。
 寿都郡黒松内町の中学校校舎改修も、単なる老朽化した校舎のリニューアルというより、「環境」をキーワードにした「まちづくり・ひとづくりプロジェクト」と捉えるべきものだ。平成17年、同校は環境省による「学校エコ改修と環境教育事業(通称:エコフロー事業)」のモデル校に選定され、以来、地域の建築技術者と住民は「エコ改修検討会」や「環境教育検討会」の回を重ねて、ハードとソフトの両面から、今後の学校やまちのあり方を協議してきた。「北限のブナ林」をもつ地域の特性に配慮した学校づくりが、町の人々に自らの環境的アイデンティティーを再認識させる契機となったことも、この事業の大きな成果というべきだろう。
 プロポーザルで選任された設計者の提案は、竣工後30年を経た既存校舎の鉄筋コンクリート屋根と床を一部解体し、替りにガラス屋根で覆うものであった。「ひかりのみち」と呼ぶこの2層吹き抜け空間が、採光、通風、耐震といった物理的要求条件を満たすだけでなく、1学年1クラスの小規模校に一体感のある活き活きとした学びの場を提供した。屋根からの自然光は、教室内の照度を均質化するとともに、季節の移ろいや天候の変化による外部環境の息遣いを屋内の人々にそれとなく感じさせる。生徒や先生たちが自然にこの場所に集まり、大きな木のテーブルを囲んで楽しそうに時を過ごす光景が日常的に見られるという話もうなづける。
 もっとも、この手法がどの地域にも同様に適用できるとはいえず、ガラス屋根のアトリウムが熱負荷を増大させ、かえって室内環境を悪化させることもありうる。地域固有の環境条件をよく見極めて対処しなければならない所以だが、その点ここでは、卓越風の流れや積雪状況、日照時間の短さなどのデータを読み込んだ上で、形態の決定や素材の選定がなされている。エネルギー消費量など、数値的な効果は今後の検証を待たなくてはならない部分もあるが、明るく柔らかな<空間の質>は現時点でも十分評価に値する。解体により露出した梁の一部を隠さずに見せる納まりなども、永い時間の中で生かされる建築の生命を表出していて好もしい。
 校舎の改修工事では構造部材の位置や寸法は基本的に変えられないから、断熱性や耐震性の向上、設備の更新といった局所的対応に終始しがちだが、「ひかりのみち」という媒介空間を大胆に導入することにより、空間構造の再編にまで踏み込んだ建築家の構想力と、その実現に向けた関係者の地道だが粘り強い努力に敬意を表するものである。


○北海道赤レンガ建築奨励賞「大成札幌ビル」

 札幌市南一条通りに面するオフィスと店舗を擁するこのビルは、我が国を代表する総合建設企業がその技術力を結集した成果といえる。同社が環境に特に配慮した建築を目指して取り組んでいるプロジェクト「スーパーエコビル」の最初の実施事例でもあり、建築・構造・設備の各分野において先端的で高度なテクノロジーが採用されている。
 オフィス部分の特徴は、外壁の開口部を最小限にして熱負荷を抑える一方、内部に設けたトップライト付き5層吹き抜け空間「エコボイド」に向けて、執務空間を徹底的に開放したオープンプランにある。荷重を負担するのは外殻構造体で、内部には柱も構造コアもない。一部を除いて間仕切壁もなく、社員の固定席もなくした。仕事の様態に応じて家具の配置や座る位置を変えるフレキシブルなワークスタイルに相応しい開放的で明るい執務空間を創出した。
 鋼材ダンパーとオイルダンパーにより地震エネルギーを吸収する制震システムや、コンクリートの大きな熱容量を生かした躯体蓄熱放射冷暖房システム、吹き抜け上部に設置した太陽光自動追尾型採光装置など、高度なテクノロジーが融合して斬新なオフィス環境が生み出されている。省エネルギーの効果を示すCASBEE やPAL値などの各種指標も、具体的に建物の環境特性の優秀さを示している。札幌の冷涼な空気を利用した換気による冷房負荷の低減や、プレキャスト・プレストレストコンクリート梁の採用による施工の合理化など、地域の特性を踏まえた技術開発は北国の環境指向型オフィスビルのプロトタイプとして普遍性をもつ取り組みといえる。建築主、設計者、施工者が同一という、ある意味で恵まれたケースの下で、思い切った実験的試行が可能になった部分もあるだろうが、建築の可能性を多面的に追求した関係者の熱意は高く評価すべきものである。結果の検証が今後の更なる技術開発につながることを期待したい。


 (審査委員長:大矢二郎)