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2007年11月12日

黒松内中学校の現地審査に行ってきました。

 11月7日に『黒松内町立黒松内中学校エコ改修(校舎棟)』の現地審査を実施しました。

 この建物では、省エネ化や耐震性能の向上をねらいとして校舎を大胆に改修していました。といっても、外観写真をみても別段普通のどこにでもある中学校に見えませんか?ところが、中にはいると、印象はがらりと変わります。

kmn-gaikan.jpg【校舎外観】

 従来は廊下をはさんで両側に教室が並ぶという構造になっていたことから、廊下には日が入らず、昼間でも電気を点けなければならないという状況で、暗くて、寒い校舎だったそうです。
 そこで、なんと、校舎裏側(北側)の天井や壁をぶち抜いて、新たに鉄骨とガラスでできた屋根をかけるという斬新な改修を行い、太陽光が燦々と降り注ぐ、従来の「廊下」のイメージを覆すとっても明るい空間を作り出しました。
 また、コンクリートの壁などを取り払うことによって、建物自体が軽くなり、耐震性能も向上するという一石二鳥の効果が得られているということでした。

kmn-hikarinomichi.jpg【ひかりのみち】

中学校2階廊下n.jpg【2階廊下】

 新しいスペースは「ひかりのみち」と呼ばれています。ガラス屋根が北向きに設置されているため、夏の暑さの原因となる直射日光は入らず、いつでも柔らかな光が差し込んでくるという仕組みになっています。視察後の質疑応答をこの「ひかりのみち」で行ったのですが、まるで青空の下にテーブルを出して話しをしているようなとてもすがすがしい気持ちになり、その素晴らしさを実感することができました。

 「ひかりのみち」以外にも、外断熱を施して、建物本体の長寿命化を図ったり、生徒数の減少という現状にあわせた教室の配置にするなど、維持管理の負担が少なく、使いやすい学校にするための色々な工夫がたくさん詰まっているとのことでした。

kmn-classroom.jpg【普通教室】

kmn-library.jpg【図書室】

 さらに、この校舎はソフト面でも大きな成果をあげているという説明もありました。
 改修事業の実施に先だって、生徒や地域住民はもちろん設計のコンペに参加しようとする事業者までをも対象とした、ワークショップを何回も開催して、エコ改修について話し合う場がもたれたほか、リニューアル校舎の完成後も、生徒が新しい機能の利用方法(教室のブラインドのエコな操作方法etc・・・・・)や「ひかりのみち」の効果などを学ぶ、環境教育の題材にもなっているとのことでした。

 今年度も、体育館や校庭などの整備を行っていて、現地審査の時もまさに工事の真っ最中という感じでした。更にエコで素晴らしい学校になっていくとのことで、今後の展開がとても楽しみです。

 さて、これで、全ての現地審査が終了しました。後はいよいよ最終審査を残すのみです。結果発表までは、色々と手続きがあるため、皆様へのお知らせは年末ごろになると思います。どうぞお楽しみに。

2007年11月09日

函館市臨海研究所を見てきました!!

 10月30日に『函館市臨海研究所』の現地調査に行ってきました。

hkd-gaikan.jpg【研究所外観】

 外観を見ておわかりと思いますが、この建物は大正15年に建てられた函館水上警察署(現函館西警察署)の庁舎を、復元したものです。
 「保存」ではなく「復元」なので、元の建物を一度解体して、多くの部分に新たな材料を使って立て直しているのですが、その際の工法や材料などにすごくこだわって作ったことが説明からビシビシ伝わってきました。

hkd-naibu.jpg【内部の様子】

 まず、解体にあたっては、再利用可能な建材を取り外すことはもちろん、後の時代に塗られたペンキをはがしてオリジナルの素材や工法を見極めるなど、復元時の資料とするために細心の注意が払われたとのことでした。
 それでも、わからない部分については、数少ない昔の写真から推測したり、地域住民に聞き込みをするなどの努力もおこなれたようです。また、使われた材料についても、当時の状況をよく知る関係者に聞くなどして、石の産地を特定して、同じものやなるべく性質の似たもの使うなど、さまざまな苦労があったとのことでした。

 また、建設工事でもオリジナルで使われた工法にこだわっていました。外壁では、小さな石を練り込んだモルタルを塗り、完全に乾く前に表面のモルタルを水で洗い流して、ざらざらとした石造りのような質感を出すという『洗い出し工法』が採用されていました。最近では使われるのことの少なくなった工法のため、現場の左官屋さんと試行錯誤を繰り返しながらの作業だったとのことでした。
 このほかにも、元の建物で使われていた腰壁の石や内部の階段等を再利用するなど、昔の雰囲気をできる限り残す努力をあちこちで見ることができました。

hkd-koshikabe.jpg【再利用された腰壁石】

hkd-kaidan.jpg【階段】

 この建物は現在は『臨海研究所』として6つのブースを民間企業に研究室として貸し出しています。各ブースはガラス張りになっていて、実験の様子などを自由に見学することができるようになっています。この日はたまたま実験をやっているところはありませんでしたが、海藻を培養している水槽などを見ることができ雰囲気を感じることができました。

hkd-labo.jpg【研究室】

 臨海研究所はハリストス正教会や旧公会堂が建ち並ぶ函館の西部地区にあります。平日の9~17時まで公開されており自由に見学することが出ますので、函館観光の際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
 
 

2007年11月01日

積丹町立余別小学校の現地審査に行ってきました。

 10月29日に『積丹町立余別小学校(小集落のリ・デザイン第Ⅱ期)』の現地審査を行いました。

 余別地区は札幌から高速経由で2時間、積丹半島の突端、神威岬からすぐのところにある人口400人弱程度の小さな集落です。
 シーズンには、積丹の景勝地を巡る多くの観光客で賑わう地域で、国道沿いには民宿やレストランが並んでいます。集落の主な産業は漁業と観光ですが、道内の他の地域と同様、人口の流失と少子高齢化が深刻な問題となっている地域です。
 余別小学校も生徒数の減少が著しく、全校で3学級(複式)のみの小さな学校となっています。

ybt-gaikan.jpg【校舎外観】

 この小学校の企画・設計にあたっては、町や設計者、地域住民に加え、北大の都市計画の研究室も一緒に検討をしています。
 研究室ぐるみで地域の行事に参加することから始めて、住民の信頼を得ることはもちろん、地域の現状や課題をつかんで、協議の場に参加し、時には住民と町などとの調整役になるなど、重要な役目を果たしたとのことでした。小学校は既に竣工していますが、このお付き合いは今でも続いていて、毎年、地域のお祭りに学生が参加したり、まちづくりのための寄合いに参加したりしているとの説明もあり、息の長い活動が続いている様子がわかりました。

 この作品は、規模の小さな学校を、地域交流の中核施設として位置付け、子どもだけでなく地域の全ての住民が利用することを想定して設計されています。

ybt-kousyanaibu.jpg【校舎内部・多目的スペース】

 旧校舎の体育館をコミュニティーセンタとして改修し、学校と渡り廊下で結ぶほか、構内に『まちの道』という地域の自然や歴史についての展示を行うスペースを設けています。このスペースについては、今でも2ヶ月に1度、展示内容を検討する会議を開くなど、地区を巻き込んだ取り組みが続いているとのことでした。

ybt-matinomichi.jpg【まちのみち】

 また、学校施設としても、通常であれば家庭科室や音楽室などの特別教室を備える必要があるのですが、小規模校ということを考慮して、広い多目的スペースやコミュニティセンターの調理室を活用するなどして、コンパクトでありなから使いやすい校舎となるよう色々と工夫されていました。

 さらに、各教室と廊下の間に仕切りがなかったり、職員室や校長室もガラス張りになっているなど、小規模校ならではのアットホームな人間関係の中で子どもたちが過ごしていることが想像できました。

ybt-syokuinshitsu.jpg【ガラス張りの職員室】

ybt-classroom.jpg【教室】

 地域の人々がこの学校のことをすごく大切に思っていることが、色々な点で感じられ、各審査委員も非常に興味深い作品との印象を持ったようでした。