社会実験参加事業者の方からの寄稿文 その4
今回で最終となります、事業者の方からの寄稿のご紹介。
今回は、第1号のモデル住宅 厚別区青葉町のモデル住宅の建築担当
ダイニチキャピタル&ホープ株式会社 チーフリフォームプランナーの新海 直美さんです。
「住宅の価値再生に必要なコト」
ダイニチキャピタル&ホープ株式会社
チーフリフォームプランナー
新海 直美
中古住宅の再生事業に携わるようになって10ヶ月…色々なことが分かってくる程、その難しさに悶々とする時間が増えているような気がします。
私が理想とする中古住宅流通の姿は、どの住宅にも、リフォームの履歴や現在の性能が残されていて、それを確認した上で購入ができる事。それを基に自分が必要な性能まで向上するには、どの程度リフォーム費用がかかるのかを、予測できるのがベストだと思います。
何も手入れされていないオンボロな家があったとして、でもその雰囲気が好きで、自分で少しずつ変えていきたいからオンボロなまま買うというのもひとつ。住宅という大きな買い物なのだから、しばらくはメンテナンスしなくても良い、ちゃんとしたものを買いたいというのもひとつ。水周りだけは新しいのがいいな…等々。どのような選択でも構わないのです。選択肢は沢山あって構いません。(ちなみに私はオンボロ派です!)
ただ、現状の不動産取引はその選択をするための材料があまりにも少なすぎる気がしています。
不動産の取引では「重要事項説明書」というものがあり、その中で不動産の概要を示すようになっていますが、建築業界でいうところの「性能」とは表現の仕方が随分と違い、「規制」が中心となったものであるようです。この土地にはどのような規制があり、どのような建物が建てられて、何が駄目なのか。飲料水・ガス・電気の供給施設、排水設備の施設の整備状況はどうか?というのが主だった内容ですが、その先の「性能」はどうか?という部分になると希薄に感じます。最近、アスベストの使用や耐震性が取沙汰されてからその事項については記載されるようになりましたが、性能となると、不動産業界と建築業界の評価基準の「差」を感じます。同じ住宅を扱っているのに何故でしょうか?

リフォームがブームとなり定着しつつある昨今、断熱・気密・バリアフリーというのも同じように定着してきました。それなのに、いざ中古住宅を購入するとなると、その基準が不明確で判断基準がなくなってしまうというのも、これまた残念な話です。
これは、不動産・建築両業界と、家の持ち主、皆の責任でもあるように感じます。
リフォームする側が、工事の状況(例えば、グラスウールを充填した箇所・補強をした箇所等)を記録してなかった。記録して渡していたとしても、持ち主がその資料をきちんと管理しなかった。資料を管理したにも係わらずリフォームされたものに対して評価がされなかった。そのような悪循環がずっと続いているのかもしれないと感じます。
ストック住宅が増えてゆく中で、今後の流通促進を考えた時、作る側・流通する側・買う側全体の意識をぐっと引き上げないと中古住宅の姿というのはいつまで経っても不明瞭なままかもしれません。
リフォームした際「この家はこのような状況になっています」と書類にして伝える。その資料をきちんと残す。そして、それが残っているものに対してはきちんと評価する。購入した人がまたリフォームしようとした際、その資料を見ながら施工できたら、予算も労力もぐっと少なくなるかもしれません。資料が残っていたら、高く販売できるかもしれません。最終的にはその結果が、それぞれの立場に戻ってくるのですから、他人事ではないのです。
投げたブーメランが返ってくるのは随分先のことでしょうし、受け取るのは私ではないかもしれませんが、まずは投げないと始まらないと思うのです。
難問は数々、解決出来ていないことも数々、色々な方からの助けを頂いてやっとこ立っている感じです。
今回、モデル住宅に選定されて、学ぶところはとても多かったです。
中古住宅の流通システムが、北海道から発信されて、実際に活かされてゆくことを心から願います。
このような機会を与えて頂き感謝しております。ありがとうございました。
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